公益通報・法的対応

🟦「無給状態の職員に繰り返される“控除不能分”の請求――精神的・経済的圧迫の実態(11月分更新)」(記事No.18)

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1.導入

2025年11月17日、私の郵便受けに、また一通の通知が届いていました。
そのタイトルは、『無給者に係る控除不能分の振込について(11月例月分)』――。

通知に記されていたのは、請求金額「69,471円」、振込期限「11月20日(月)」という数字。
私は今回も、手数料495円を自己負担し、振込期限前日の11月19日に、合計金額を振り込みました。

これは、2025年6月から6度目となる一連の請求です。
そのすべてが、協議のないまま一方的に通知が送付され、支払を促す文言が繰り返されるという形で継続しています。

さらに、6月20日付で送付された人事課長名義の文書には、
「納付期限内の納付がない場合は自宅訪問を予定し、ご家族に説明し納付に協力いただく」旨が明記されていました。
しかし、それに対する撤回や謝罪、ハラスメント規程に基づく配慮の説明は一切行われていません

これは、パワーハラスメントの申立てを行い、心身不調の診断を受けた公務員に対し、
組織が取り続けている継続的な圧迫的対応の実態です。


2.通知の概要(11月分)

【補足:控除不能分の法的性質について】

この「控除不能分」の納付は、形式上は市が共済組合等へ立て替えた法定控除分の精算手続にあたるとされています。
しかし、実際には分割払いや猶予の申出に対する協議や応答はなく、振込手数料の全額自己負担が当然視されており、加えて「納付がない場合は自宅訪問を行う」との文言が記載された通知が繰り返されています。

これらの運用は、単なる形式的精算を大きく逸脱し、**無給状態の職員に対する実質的な“債務履行要求”**として機能しており、強い精神的・経済的圧力を生じさせるものです

このような対応は、ハラスメント防止指針が明示する「精神的圧迫の排除」「私的領域への不当な関与の禁止」「合理的配慮義務」などに明白に違反しており、深刻な二次被害そのものと評価されるべき構造です。


📄 通知タイトル:『無給者に係る控除不能分の振込について(11月例月分)』

  • **封筒消印:**2025年11月13日
  • **郵便受取日:**2025年11月17日
  • **請求額:**69,471円
  • **振込期限:**2025年11月20日(月)
  • **振込手数料:**495円(自己負担、11月19日振込済)

※通知には共済組合の明細等が同封されていたものの、控除不能分の制度的な位置づけや振込手数料の扱いに関する説明、協議の記録、合理的配慮に関する言及は一切ありません。
※2025年6月以降、同様の通知が6度繰り返されており、いずれもパワハラ申立対象である人事課長名義で送付されています。
※当該人事課長については、市も一定の事実を認めた上で「配慮する」と表明していましたが、通知名義や運用方法には一切の変更がなく、6月20日付通知で示された“自宅訪問による家族への説明”との記載についても、精神的影響を訴えた後も撤回・謝罪等は一切行われていません
※こうした対応は、被害申立者に対し加害構造を是正する姿勢が見られないまま通知実務だけが続行されていることを示し、制度的不信・再被害を深めるものです。


3.所見

この対応は、6月以降6度にわたって繰り返されてきたものであり、以下の点で深刻な制度的・人権的問題を含んでいます

  • 給与が支給されない状態の職員に対し、協議も根拠説明もないまま控除不能額の請求通知が継続
  • 分割払いや配慮の申出に対して、市は実質的に一切応じておらず、通知のみで執行
  • 振込手数料を本人に全額負担させ、その法的根拠や制度的説明の提示は皆無
  • 6月通知に明記された**「自宅訪問」の文言について、精神的負担を訴えた後も撤回・謝罪はなし**
  • 再三の文書照会、制度改善要望にも、市は誠実な回答・対応を示していない

特に看過できないのは、パワハラ申出を行った職員に対し、市が一定の認定と「配慮」を表明していたにもかかわらず、加害申立対象者の名義で通知を継続し、実務運用に一切の変更を加えていないという点です。

このような構造は、「制度の不備」や「手続の機械的処理」として片付けられるべきではなく、申立者に対する明白な「不利益取扱い」あるいは「組織ぐるみの二次被害」として社会的・法的に問われるべき性質を有していると、私は強く認識しています。


4.所見の理由・説明・経緯・法令等根拠・事実・証拠

本件の根本的な問題点は、以下の通りです:


❖ 法的・制度的な曖昧性と運用の偏り

地方公務員法および給与条例第3条に定められる「現金支給の原則」は、本来、職員にとっての保護規定であり、手数料等の付随費用を一方的に本人へ転嫁するような運用は、その趣旨に照らして合理性を欠く運用と評価されます。
また、実務上、同一市内の水道部門では「納付書払い」が導入されているにもかかわらず、本件では代替手段の提案すら行われておらず、事務負担・費用負担の全てが申立者側に集中しています

さらに、2025年6月20日付の回答通知に含まれていた「自宅訪問」の文言は、厚労省策定のパワハラ防止指針における**「私的領域への不当な介入」**に該当する可能性が高く、以降の申し入れにもかかわらず撤回もされていないことは被害者の人格権・信頼利益に対する侵害として看過し得ない行為です。


❖ 継続的な経緯と申出の無視

2025年6月から11月まで、計6度にわたり、控除不能分に関する通知が送付されています。
これらの通知はいずれも、制度説明・法的根拠の提示・配慮に関する記載がなく、一貫して「一方的通知+支払要請」という形式で継続されています。

私は、制度的対応の改善を複数回要請してきましたが、それに対する市側の対応は、

  • 「手数料は本人負担で当然」という姿勢の維持
  • 制度改善や他方式(納付書払い等)の検討・報告の放棄
  • 人事課長名義通知の継続・加害構造の是正措置なし

といった、実質的に応答義務を放棄したものと評価される対応です。

特に、6月23日付で正式に文書照会を行い、①手数料負担の法的根拠の明示、②納付書方式等への変更を求めた件については、6月20日回答文書の内容(「法律上、市が負担すべき義務はない」とする見解)以外に一切の検討・回答がないまま、現在に至っています


❖ 被害申出者への保護義務違反の継続

私は、2025年5月27日付で正式にハラスメント相談(様式第1号)を提出し、その後も精神的不調等により医師指導経験に基づく療養を続けている状態にあります。

こうした状況にもかかわらず、市は人事課長名義による通知送付を継続し、6月に明示された訪問示唆文言についても撤回・謝罪・是正説明を行っていません
形式的処理を繰り返す一方で、実質的な配慮対応は皆無であり、これは明確に合理的配慮義務違反として制度的不作為が疑われる状態と評価されるべきです。


本件は、単なる事務的手続ではなく、制度不全・人権侵害の構造的問題であることが、11月時点でも再び浮き彫りとなりました。

5.主な関連資料・証拠文書

※制度的主張・経緯に関係する文書を網羅的に、通知名・発信者・宛先・内容の視点で分類。

■【A. 控除不能分の請求・振込・手数料負担に関する資料】

日付文書・通知名発信者→宛先内容概要
2025-06-19(dataID:95)『無給者に係る控除不能分の振込について(6月例月分)』通知人事課→現役公務員初回請求通知欠勤期間中の給与停止に伴い、共済掛金等「無給者に係る控除不能分」45,540円の自己負担支払を求める通知が到達(6月16日付発出、6月19日到達)。振込手数料も本人負担とされ、制度的背景や配慮措置の説明はなし。支払期限は到達から4日後の6月23日と短く、精神的圧力性が高い通知内容。
2025-06-19(dataID:10)納付方法に関する協議申出現役公務員→人事課分割・猶予・手数料免除を要請
2025-06-20(dataID:11)回答文書人事課長→現役公務員分割・猶予・方式変更などの申出に対し、いずれも再検討の余地を否定し、協議の余地を認めない対応
2025-06-23(dataID:12)制度照会文現役公務員→人事課納付書方式を正式提案、共済費算定根拠と手数料負担の法的裏付けを要求。「自宅訪問」記載に対し心理的圧迫の懸念を表明し、再発防止を要請
2025-06-23
(dataID:96)
控除不能分の振込実施記録(6月分)現役公務員→指定口座納付期限内に支払わなければ自宅訪問との記載により、心理的圧迫を感じつつ振込を実施。協議再開や再回答のないまま、対応を余儀なくされた。人事課からの通知に「支払わない場合は自宅訪問・家族への説明を行う」との記載(dataID:11回答文書)があり、心理的圧力を感じた中で、協議の再開や再回答がないまま振込を余儀なくされた。手数料495円も自己負担。事実上の協議打ち切り状態での対応となった。
2025-07-16(dataID:13)『無給者に係る控除不能分(7月例月分)』通知人事課→現役公務員手数料495円を再度自己負担。訪問示唆と制度説明・根拠説明の欠如が継続中。
2025-07-22(dataID:14)備忘メモ現役公務員→人事課人事課からの再通知に対し回答は一切なく、精神的圧迫の中で振込実施(495円手数料自己負担)。金額は誤って4円超過。抗議は行わず沈黙を選択。
2025-08-13(dataID:23)『無給者に係る控除不能分(8月例月分)』通知人事課→現役公務員手数料495円を再度自己負担。訪問示唆と制度説明・根拠説明の欠如が継続中。
2025-09-16(dataID:46)『無給者に係る控除不能分(9月例月分)』通知人事課→現役公務員手数料495円を再度自己負担。訪問示唆と制度説明・根拠説明の欠如が継続中。
2025-10-17(dataID:63)『無給者に係る控除不能分(10月例月分)』通知人事課→現役公務員手数料495円を再度自己負担。訪問示唆と制度説明・根拠説明の欠如が継続中。
2025-11-17(dataID:149)『無給者に係る控除不能分(11月例月分)』通知人事課→現役公務員手数料495円を再度自己負担。訪問示唆と制度説明・根拠説明の欠如が継続中。

■【B. 二次被害・制度不備・パワハラに関する証拠文書等】

日付文書・通知名発信者→宛先内容概要
2025-07-18(dataID:15)診断書提出・事情説明要請。人事課長→現役公務員スポーツ大会出場等を根拠に欠勤理由の整合性を疑義視する。診断書の提出または弁明書提出を求め、「提出がなければ服務規程違反に該当する可能性」と明記。
2025-08-01(dataID:16)診断書提出要請への回答文書現役公務員→人事課長7月18日付通知に対し、診断書の有無のみで欠勤の正当性を判断するのは不当と指摘。服務違反の示唆は不利益取扱いにあたる懸念を表明。欠勤の正当性はハラスメント起因の実態を含めて総合的に判断すべきと主張。
2025-08-28(dataID:25)所見・改善要望書現役公務員→人事課8月19日付通知に対し、被害者に過度な証拠負担を課し、調査責任を放棄する姿勢を批判。二次被害(手数料強要・訪問示唆・制度説明欠如)への謝罪・是正が一切ないと指摘。公益通報・情報公開・文書管理制度の形骸化にも言及し、制度趣旨に基づく対応と信頼回復を要望。
2025-08-29(dataID:27)調査体制再構築・申立人追加通知現役公務員→人事課(通知責任者)人事課長・水道課長をハラスメント申立対象として正式に追加。人事課が調査主体であることは利益相反にあたると指摘し、独立した調査体制への再構築を要請。あわせて、公益通報・情報公開・文書管理制度の見直しを含め、制度横断的な是正と再発防止を求めた。
2025-09-12(dataID:44)回答文書(体制見直し対応)総務部長→現役公務員人事課長へのハラスメント申立を受け、利益相反の懸念に一定の配慮を示し、人事課長を調査から除外すると明記。ただし、調査主体は引き続き人事課が担う体制とされ、主導体制に関する根本的な是正は見送られた。3件の申立の一括審議や相談員の再指名は了承され、調査委員への文書提出が求められた。
2025-09-21(dataID:48)再要請メール(制度見直しと体制整備)現役公務員→総務部長(情報共有:人事課長・担当)公益通報・情報公開・文書管理等の制度不備がパワハラ案件と不可分であるとし、包括的見直しと体制信頼性確保を要請。二次被害(無断訪問・費用請求等)排除の明示、独立部署への引継ぎ可能性、制度趣旨に基づく対応の必要性を強調。
2025-09-21(dataID:94)所属長向け報告メール現役公務員→社会福祉課長調査主体が申立対象である現体制の利益相反・制度不備を指摘し、独立体制構築・是正方針の提示を再要請した旨を報告。併せて、労組に対し即時対応と声明検討を要請、市民的関心を踏まえたSNS発信予定も共有。庁内の理解と議論への参加を要請。
2025-09-21(dataID:93)緊急要請メール(市新方針への懸念)現役公務員→委員長(糸満市職員労働組合)※副委員長・書記に情報共有市の新方針(人事課形式交代)により、申立対象である人事課が調査実務を継続する構造的利益相反を指摘。公益通報制度の機能不全・二次被害看過を批判し、組合としての即時是正・抗議文提出・声明発出を要請。現行体制では被害者不在の形骸的委員会となる危険を警告。組合の存在意義をかけた対応を求めた。
2025-10-06(dataID:62)回答文書(制度是正要請への応答dataID:48の応答)総務部長→現役公務員公益通報・情報公開・文書管理の包括的見直し要請に対し、所管分散・権限不在を理由に責任回避。人事課主導体制の継続も再確認し、独立調査の否定を明記。無断訪問・費用請求等の二次被害についても制度的正当性を主張し、排除方針の提示なく継続性を容認する内容。
2025-10-10
ブログNo.5
糸満市総務部長通知に基づく主要論点の整理・提示現役公務員(ブログ記事)→ 市民・読者2025年10月6日付の市回答を受け、市民議論に資する形で主要論点を列挙。二次被害への非謝罪対応、費用請求の形式主義、独立体制の拒否、公益通報の不受理などについて、法的・倫理的観点から問題点を明示。制度是正に向けた基盤形成の一環。
2025-10-29
ブログNo.8
公益通報調査結果への抗議と是正要請通知現役公務員→ 総務部長・人事課長(情報共有:職員組合)10月6日・15日付市文書に対し、調査の公正性欠如(二次被害・利益相反の常態化)、不受理通報の扱い、名義の不適正、通報者意見の活用拒否、制度の透明性欠如などを包括的に指摘。再調査・謝罪・是正措置を正式に要求。法的根拠に基づき外部移行も予告。
2025/11/05
ブログNo.9
公益通報制度の構造的欠陥に関する制度改善提言現役公務員(ブログ記事)→ 市民・議会・行政利益相反の常態化、形式主義による調査排除、公文書管理の不備、被害者配慮の欠如等を明示し、公益通報制度の本来の趣旨に基づいた体制整備を求める制度是正提言。
2025-11-07
ブログNo.12
糸満市長宛 正式陳情と制度改革要請現役公務員→ 糸満市長・市民生活環境課制度内からの自浄作用を信じ、公益通報制度・文書管理制度の利益相反構造・二次被害・調査体制の問題を正式に陳情。記録性・合法性・市の要綱に基づく手続をすべて備えた形で提出。市長による是正行動を求めつつ、30日以内の回答要求と、困難な場合の議会請願・第三者機関への移行を明記。
2025-11-19
ブログNo.17
制度不全・二次被害に関する組合への再要請通知現役公務員→ 糸満市職員労働組合11月10日組合回答を受けて、制度構造への抗議と判断経緯の説明を求める正式な再要請通知を送付。制度への黙認・静観姿勢を批判し、「協働による是正」を促す内容。抗議・要望書提出と判断経過の公開も求めた。

6.根拠法令・通達等

  • 地方公務員法第24条~第26条(給与支給義務・公務員の保障)
  • 給与条例第3条(現金支給の原則)
  • 労働安全衛生法(精神的配慮義務)
  • 厚労省「職場のパワーハラスメント防止指針」
  • 公益通報者保護法(不利益取扱い禁止)

7.その他(公開目的・お願い)

本件の公開は、以下の目的で行っています:

  • 同様の立場にある公務員への情報共有と支援
  • 糸満市による制度運用の適法性と透明性の検証
  • 市民の「知る権利」に基づく公益的問題提起
  • ハラスメントの再発防止および制度整備の促進

なお、これらの発信内容はすべて、法的根拠および文書記録に基づいており、名誉毀損・虚偽記載には一切該当しません


8.制度論的な整理と論点の再確認

本件で浮かび上がった制度的課題を整理すると、以下の通りです:

  • 給与支給に関する法的保護の不在
    • 地方公務員法25条等・給与条例第3条の趣旨を踏まえても、控除不能額の請求処理に関する法的整備は不十分。
    • 現金支給の原則に基づく公的費用の個人転嫁の回避義務について、現行制度では明示されていない。
  • 事務の便宜による職員負担の制度化
    • 本件のように、「制度上立替え処理の必要がある」といった内部的都合により、当該職員に不利益が転嫁される構造が温存されている。
  • 精神的不調者への対応基準の不在
    • パワハラ相談者への通知方式、支払圧力(自宅訪問等)、調査体制の問題など、被害者配慮を制度的に担保する規程がない。

これらは、**「制度不備を背景とした、職員個人へのリスク集中」**という深刻な構造的問題を示しています。


9.市民との協働に向けて

この問題は、単なる一公務員の労務問題ではなく、次のような公益的意義を持ちます:

  • 市役所職員が安心して働ける制度の保障
  • 公務員が内部不正やハラスメントに適切に声を上げられる環境整備
  • 税金による行政処理の適正性と説明責任の確保

市民と共有すべき論点は、以下の通りです:

  • 市の「制度による強制」は、市民の納税で支えられていることを自覚しているか
  • 内部通報・ハラスメント申出制度は、形骸化していないか
  • 職員の命や生活に関わる判断が、ルールに則って公正に行われているか

10.公開の継続と今後の方針

今後も、次の目的で発信を継続します:

  • ✅ 本件における制度運用・法的解釈の透明化
  • ✅ 同様の事例の予防・再発防止に資する知見の蓄積
  • ✅ 内部からの制度改革に向けた自治体職員との連携
  • ✅ 市民・メディア・議会との連携による監視強化

今後の記事では、

  • 📌 個別文書への逐条的所見
  • 📌 関係法令・通達の体系的整理
  • 📌 自治体間比較と改善モデルの提示

などを通じて、より実践的な制度改善提案を行っていく予定です。


11.関連リンク

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