公益通報・法的対応

🟦 市民との議論のための主要論点の列挙(糸満市通知・記事No.4を受けて)(記事No.5)

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(2025年10月6日付/発出者:糸満市 総務部長/宛先:現役公務員)


📄 本記事の目的
本稿は、2025年10月6日付の糸満市からの正式回答に基づき、今後市民との議論を行う上での焦点となる論点を整理・提示するものです。これにより、法的・倫理的観点からの評価とともに、制度改善への提言と監視の基盤を市民と共有することを目的とします。


🔍 論点 1: 組織の責任、二次被害に対する姿勢、および行政説明責任の欠如

項目抽出された事実糸満市の主張の適切性(論点)
無断訪問安否確認目的であったと釈明し、謝罪を明確に行っていない。現役公務員は、メールでの連絡を要請し、精神的負担を訴えていたにもかかわらず、市は行為の正当化を図り、謝罪の意図を示していない。これはハラスメント防止指針が求める被害者への配慮義務に反する。
費用請求振込手数料は**「制度の運用上、変更は困難」**とし、自己負担を維持する方針 。欠勤による経済的・精神的困難を考慮せず、制度の形式的な適用に固執し、被害者の困難への柔軟な配慮や代替案の検討を怠っている。
情報公開の責任所在未回答情報公開制度に関する指摘は**「総務課と情報を共有しご指摘の趣旨は関係部門に適切に伝達」**すると回答。現役公務員は、制度選択(公文書/個人情報開示)の案内を巡る混乱 や、制度選択によって不利益が生じた場合の行政側の責任の所在 の明確化を求めていた。市が「伝達」に留め、体制としての責任の所在を曖昧にする姿勢は、行政の透明性や説明責任の確保 に欠ける。

🔍 論点 2: 利益相反と独立性の欠如(ガイドライン無視の調査体制/人事課主導の維持)

項目抽出された事実糸満市の主張の適切性(論点)
独立調査体制の拒否人事課が主管課であり、規程上、人事課以外の調査部署は規定されていないため、独立機関の設置は困難である。人事課長が申立対象という利益相反状態にあるにもかかわらず、**公益通報ガイドラインの「利益相反の排除」**の原則 よりも、内部規程を優先し、独立体制を拒否している。
体制の維持総務部⻑をトップとした体制を維持する。調査の**公正性(中立性)**確保という最優先課題に対し、利害関係のある部署が主体となる体制を維持することは、制度の信頼性を担保できない。

🔍 論点 3: 制度的課題への包括的対応の拒否と硬直性

項目抽出された事実糸満市の主張の適切性(論点)
包括的見直しの拒否所管部署が異なるため、人事課主導での制度全体の包括的取扱いは困難である。ハラスメントに関連する文書管理の不備(病休申請書の消失) や公益通報の構造的不備 など、制度横断的な問題が指摘されているにもかかわらず、縦割り行政の限界を理由に包括的な問題解決を拒否している。
公益通報の不受理判断No.3, 12, 14, 15等の不受理再検討要望は**「共有している」**。形式的な理由(例:「不正の意図がない」、制度が存在する)で不受理としたとされる通報について、再検討の実施を明言せず、実質的な検証を避けている。これは、公益通報者保護法の趣旨に反する狭い解釈 を維持するものであり、組織の自浄作用を阻害している。

📘 今後の展開
今後は、上記の論点をもとに、

  • 各通知・メール・制度規程との整合性検証
  • 具体的対応と制度趣旨との乖離分析
  • 他自治体対応例・国のガイドラインとの比較

を通じて、糸満市対応の適否を明確にしていきます。

次回記事では、これらの論点に対する筆者所見と対応方針を示し、制度是正への具体的提言を提示する予定です。

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